第179章 首筋に落とすキス

「ママ、絵を描きに行ってくる!」

香澄はそう言うなり、ぴょんぴょん跳ねるようにしてアトリエへ駆け込んでいった。

「うん。ごはんの時間になったら、ママが呼ぶね」

南雲玲奈は胸の奥で大きく息を吐く。

キッチンへ行き、山本さんに香澄の好きな料理をいくつか頼んだ。

夕食の支度が整ったころ、ようやくスマホに気づく。小泉大輔からメッセージが入っていた。

『平野優真から聞いた。香澄、今日ちょっとした事故があったって。本当に大丈夫か?』

その一文を読んだだけで、玲奈の胸がじんわり温かくなる。

横尾孝人は「父親」を名乗りながら、子どもの前で平気で言い争いを始める。香澄が傷つくかどうかなど、まる...

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